500万円以上を個人で寄附する場合は、送金より先に受入先の担当窓口へ連絡してください。個人500万円以上は紺綬褒章の授与基準ですが、受章が決まる金額ではありません。寄附金を受け取る法人・機関、振込名義、分けて支払う条件などを文書で確認します。申込書と振込方法が回答に合ってから送金してください。
500万円は、送金だけで受章が決まる基準ではありません
内閣府が示す個人の授与基準は、公益のために500万円以上の私財を寄附したことです。ただし、対象となる寄附先への寄附であることに加え、関係府省などからの推薦と内閣府の審査があります。推薦とは、関係府省などが候補者を内閣府へ挙げる手続です。
寄附者が金額だけを記載して、内閣府へ直接申請する制度ではありません。受入先が推薦の相談を扱うか、いつまでに何を申し出るかを送金前に尋ねる必要があります。推薦の相談ができても、推薦や受章が決まるわけではありません。
担当窓口へは、個人名義の寄附と推薦希望を先に伝える
最初の連絡では、個人の財産から寄附することと、紺綬褒章の推薦を希望していることを明確に伝えます。金額と寄附希望だけでなく、推薦希望まで同じ連絡に記載してください。
確認したいのは、寄附を受け付ける窓口だけではありません。推薦の相談窓口、必要な申出、提出時期、受入先から関係府省へ進む手順も尋ねます。公開ページだけで推薦の可否を判断せず、担当者からの回答を文書で残してください。
基金名と受入法人名を分けて確認する
申込先では、基金や事業の名称とは別に、受入法人の正式名称を確かめます。受入法人とは、法律上、寄附金や財産を受け取る法人や機関のことです。
たとえば、和歌山県立医科大学の「青洲基金」は基金名です。寄附申込書の宛先は、公立大学法人和歌山県立医科大学の理事長になっています。国立健康危機管理研究機構では、キャンパスや研究部門を指定しても、寄附を受け入れる機関は国立健康危機管理研究機構です。これらは各団体の書式に見られる具体例であり、他の寄附先へそのまま当てはめることはできません。
民間団体への寄附が紺綬褒章の対象になり得るかを調べるときは、内閣府の「認定公益団体一覧」で受入法人の正式名称を照合します。2026年7月14日に確認した一覧は、令和8年(2026年)6月24日現在です。一覧に名称があっても、いつからの寄附が対象になり得るか、予定する寄附が受入対象かは、受入先へ確認してください。
分納は初回の送金前に申し出る
数回に分けて支払う予定なら、初回の送金前に分納として相談します。分納とは、総額と期間をあらかじめ申し出て、複数回に分けて寄附する方法です。
大阪公立大学、和歌山県立医科大学、北海道、消費者機構日本は、いずれも事前に申し出る分納を案内しています。これは複数の公式例に見られる傾向です。期間や合算方法が全国で同じという意味ではありません。和歌山県立医科大学は、同じ使途への寄附であることも案内しています。
通常の定期寄附や、すでに終えた寄附が、分納として扱われるとは限りません。予定総額、各回の金額、初回予定日、完納予定日、使途を受入先へ伝えてください。完納後にどの時点で推薦の相談が始まるかも、その受入先の回答を確認します。
返礼品だけでなく、寄附と引き換えの利益も伝える
推薦を希望する場合は、品物やサービスを受け取る前に、対象判定への影響を尋ねます。反対給付とは、寄附と引き換えに受ける利益やサービスのことです。
内閣府は、地方公共団体などへの寄附で返礼品を受けた場合、記念品の類を除いて対象外と案内しています。北海道の案内にも、寄附によって顕著な利益を得る場合は対象外になるという記載があります。どの品やサービスが記念品に当たるかは、公開された全国一律の一覧では判断できません。
物質・材料研究機構は、寄附者向けの品を「オリジナル返礼品」として紹介しています。同じページには、紺綬褒章への推薦案内もあります。ただし、推薦を希望する寄附者が品を辞退すべきかまでは、公開ページから分かりません。これは同機構へ個別に尋ねる事項です。
品物だけでなく、施設の利用、技術情報、契約上の便宜なども受入先へ伝えます。何も受けない予定なら、「返礼品や個別の利益は希望しない」と書面に記載しておくと、双方の理解をそろえやすくなります。
申込者、振込名義、領収書の宛名をそろえる
個人として寄附するなら、申込者、振込名義人、領収書の宛名を同じ個人名にできるか確認します。受入先が寄附者を特定するとき、申込書だけでなく入金名義を使う場合があるためです。
佐賀大学基金は、領収書を振込名義で発行すると案内しています。これは佐賀大学の運用例ですが、送金前に宛名を確かめる必要性がよく分かります。振込時に使う表記を受入先へ伝え、領収書の宛名を確認してください。
本人の財産を寄附するつもりでも、家族の会社、資産管理会社、代理人などの名義から振り込むと、誰の寄附として扱われるかは公開資料だけでは判断できません。別名義からの支払いを予定している場合は、その事情を隠さず伝えます。個人として扱うために必要な申込方法を、受入先から文書で案内してもらってください。
使途指定は、条件と費用まで確認する
使ってほしい事業が決まっている場合は、希望を受け入れられるかを送金前に確かめます。事業名だけでなく、管理費、残額、事業を実施できなくなった場合の扱いも確認対象です。
和歌山県立医科大学の申込書は、三つの事業から使途を選ぶ形式です。選択がない場合は、大学が使途を決めると記載されています。国立健康危機管理研究機構では、診療科や研究テーマを希望できる一方、寄附金の一部を管理費へ充てる規程があります。
国立健康危機管理研究機構の規程は、会計検査、知的財産の利用、その他の反対給付を条件とする寄附を受け入れないと定めています。使途を指定できることと、寄附者が事業の実施方法を契約で支配できることは同じではありません。
氏名の公表や銘板への掲載を尋ねる申込書もあります。公表を希望するか、匿名を希望するかを申込書で選べる場合は、その記録も控えに残してください。公表の希望は、寄附の受入条件や推薦の判断と混同せず、別の項目として確認します。
株式、不動産、物品は現金とは別に相談する
金銭以外の財産を渡す場合は、申込書を送る前に受入可否を相談します。現物寄附とは、株式、不動産、物品などを金銭に換えずに渡す寄附です。
北海道は、評価額による物件寄附も案内しています。一方、国立健康危機管理研究機構は、有価証券を受け入れられない場合があるとしています。不動産は、原則として換価後の金銭による寄附を求めています。受入先によって扱いが異なるため、現金寄附の説明だけでは判断できません。
受け入れられる場合も、評価日、評価方法、名義移転費用、売却費用を確認します。寄附受領書へ記載される価額については、受入先と税理士の双方へ尋ねてください。財産を移転した後に条件を調整するのは難しいため、合意した内容を文書で残します。
領収書と税務書類は発行条件まで確かめる
紺綬褒章の対象寄附先であることと、寄附金控除の対象になることは別の判断です。内閣府の認定公益団体一覧だけを見て、個人の控除額や必要書類を決めることはできません。
国税庁は、一定の寄附金について、寄附先が発行した領収書を確定申告の必要書類として案内しています。寄附先の区分によっては、適格性を示す証明書の写しも必要です。個別の控除額や申告方法は、税務署や税理士へ確認してください。
領収日が申込日や自分の振込操作日と同じになるとは限りません。佐賀大学では、大学への入金日を領収日としています。クレジットカード決済では、決済代行業者から大学へ入金された後に領収書を発行します。年末に寄附する場合は、領収書の名義、日付、金額、追加証明書、発行時期を送金前に尋ねます。
一通の照会文で回答を記録に残す
確認事項は一通にまとめ、受入先の回答を文書で残します。次の文案を、ご自身の寄附内容に合わせて書き換えてください。
件名:個人名義の寄附と紺綬褒章の推薦に関する事前確認 個人の財産から、合計〇〇円の寄附を検討しています。紺綬褒章の推薦を希望しているため、送金前に次の点をご教示ください。 1. 寄附金を法律上受け取る法人・機関の正式名称 2. 現在の認定状況と、推薦の相談に必要な申出・書類・時期 3. 申込者、振込名義、領収書の宛名に使う表記 4. 一括または分納の扱いと、分納時の予定総額・期間・使途 5. 返礼品や個別の利益を辞退する場合の手続 6. 使途指定、管理費、残額、事業を実施できない場合の扱い 7. 現物寄附の場合の受入可否、評価方法、費用、受領書の価額 8. 領収書の日付・金額と、確定申告に必要な証明書の発行時期 9. 寄附者名の公表または匿名希望の取扱い ご回答と申込書の内容を確認した後に、指定の方法で手続を進めます。
受入先から回答が届いたら、申込書の宛先と振込先を照合します。回答だけに書かれた条件がある場合は、申込書へ反映する方法を受入先に尋ねてください。メールや文書は、領収書と一緒に保管します。
回答が得られない項目があれば、推測で埋めずに送金を待ちます。受入先の制度や書式が変わった場合は、古い回答をそのまま使わず、改めて確認してください。
公式情報と確認日
制度の改定や寄附先の書式変更があり得るため、送金前に最新の公式情報を再確認してください。本文では、全国共通の制度事実、複数の公式例に見られる傾向、各団体だけの運用を分けて扱っています。
- 内閣府「勲章・褒章制度の概要」(確認日:2026年7月14日)
- 内閣府「紺綬褒章等の授与基準」(確認日:2026年7月14日)
- 内閣府「認定公益団体一覧」(確認日:2026年7月14日、資料の基準日:令和8年6月24日)
- 国税庁 No.1150「一定の寄附金を支払ったとき」(確認日:2026年7月14日)
- 大阪公立大学「紺綬褒章」(確認日:2026年7月14日)
- 和歌山県立医科大学「青洲基金」、同「寄附申込書」(確認日:2026年7月14日)
- 消費者機構日本「褒章制度について」(確認日:2026年7月14日)
- 北海道「寄附者に対する紺綬褒章の授与について」(確認日:2026年7月14日)
- 国立健康危機管理研究機構「ご寄附のお願い」、同「寄附受入規程」(確認日:2026年7月14日)
- 物質・材料研究機構「寄付のお願い」(確認日:2026年7月14日)
- 佐賀大学基金「よくある質問」(確認日:2026年7月14日)
- 東京学芸大学基金「寄附申込書」(確認日:2026年7月14日)
送金と受領が終わった後は、受入先から関係府省へどのように手続が進むかを確認します。続きは寄附のあと、紺綬褒章の推薦はどのように進むかで整理しています。