会社の代表者が高額の寄附を考えるときは、最初に「誰の財産から寄附金を出すか」を決めます。個人の寄附と法人の寄附では、紺綬褒章の基準額も授与されるものも異なります。家族などの連名を希望する場合も、合計額が自動的に一人分として扱われるとは限りません。
最初に、実際の支払主体を決めます
ここでいう支払主体は、振込操作をする人ではなく、誰の財産として寄附金を負担するかという意味です。代表者個人が自分の財産として負担するなら、個人の寄附として受入先へ相談します。法人が会社の決裁と経理処理に基づいて負担するなら、法人の寄附として相談します。
会社の代表者名は、法人の申込書にも連絡先として記載されることがあります。しかし、代表者が記載されているだけで、法人の寄附が代表者個人の寄附になるわけではありません。
受入先の公式書式には、個人と法人で記入する情報を分けて示す例があります。医薬基盤・健康・栄養研究所の寄附申込書の記載例では、個人は氏名と住所を記載します。法人は名称、代表者氏名、主たる事務所の所在地を記載する形式です。
個人か法人かを決めないまま、先に申込書や振込手続を進めないでください。支払後に、申込名義や受領書の宛名を希望どおりに変更できるとは限りません。
個人と法人では基準額と授与されるものが異なります
内閣府は、個人と団体を別の区分で案内しています。個人の基準は500万円以上、団体の基準は1,000万円以上です。
| 寄附者の区分 | 寄附額の基準 | 授与されるもの |
|---|---|---|
| 個人 | 500万円以上 | 紺綬褒章 |
| 法人などの団体 | 1,000万円以上 | 紺綬褒章に係る褒状 |
団体等には、褒章に代えて褒状が授与されます。褒状は、団体等を表彰するときに授与される書面です。法人が寄附者として行った寄附により、法人の代表者個人へ紺綬褒章が授与されるという意味ではありません。
基準額を超えれば、授与が自動的に決まるわけでもありません。内閣府の勲章・褒章制度の概要では、関係府省等からの推薦に基づく審査を経て授与すると説明されています。寄附先も、国、地方公共団体、または内閣府が認定した公益団体に該当する必要があります。
申込名義、振込名義、受領書の宛名をそろえます
支払主体を決めたら、その人・法人が寄附者として記録されるように、書類と支払方法を確認します。少なくとも、申込名義、振込名義、受領書の宛名の三つを送金前に照合してください。
この記事でいう受領書は、受入先が「領収書」や「寄附金受領証明書」と呼ぶ書類を含みます。書類の正式な名前は、受入先によって異なります。
海洋研究開発機構の寄附金に関するよくあるご質問では、領収書の宛名は原則として、申込書等に記載された寄附者の氏名とすると案内しています。法人名での作成も可能としています。これは同機構の運用例ですが、申込時の寄附者名が受領書へつながることが分かります。
税務上の扱いも、個人と法人では別です。国税庁の寄附金を支出したときは、個人の寄附金控除と、法人の所得を計算するときに寄附金を費用として扱える範囲を分けて案内しています。税務上の扱いは、寄附金を負担する人・法人や寄附先の区分によって変わります。
この記事では、個別の税額や損金算入額を判断しません。個人か法人かを決める前に、予定する支払方法を税理士などへ具体的に伝えてください。
連名の申込方法は受入先によって異なります
家族や友人との連名寄附は、今回確認した公式案内だけでも手続が分かれています。複数の大学が公開している案内を比べると、申込方法と受領書の扱いが同じではありません。
| 受入先・制度 | 連名申込 | 受領書等の扱い |
|---|---|---|
| 東京大学基金 | 可能 | 寄附金控除を申告する場合は個別申込を案内 |
| 東京学芸大学基金 | 可能 | 寄附者明細を受け取り、各個人へ領収書を発行 |
| 京都教育大学 | 可能 | 手続書類を代表者へ送り、受領証明書は代表者名で発行 |
この表は、三つの大学が公開している申込実務の比較です。紺綬褒章における連名寄附の全国共通基準を示すものではありません。
今回確認した内閣府の公開資料には、連名の総額を誰の寄附額として扱うかまで記載されていません。連名の合計が500万円以上なら全員が対象になる、または代表者一人が対象になるとは判断しないでください。
連名を考えている場合は、各人が実際に出す金額を先に決めます。そのうえで、誰を申込者とするか、受領書を何通発行できるか、推薦書類に寄附者と金額をどう記録するかを受入先へ尋ねます。
芳名の見せ方と寄附者の名義は分けて考えます
芳名とは、受入先が感謝の表示などに掲載する名前です。寄附申込書や税務書類に記録される寄附者名義とは、別に相談できる場合があります。
東京大学基金のよくあるご質問には、寄附金控除を申告する人は個別に申し込み、安田講堂の銘板では連名表記を別途相談できるという案内があります。これは東京大学基金の固有例です。
家族の名前を一緒に残したいからといって、申込名義まで連名にする必要があるとは限りません。芳名や銘板の希望と、制度上・税務上の寄附者を分けて受入先へ伝えると、確認しやすくなります。
送金前に六つの名義情報を一枚へまとめます
受入先へ相談するときは、希望だけでなく、予定している支払方法も示します。次の六つを一枚のメモにすると、申込書、受領書、推薦、社内記録の食い違いを確認できます。
- 寄附金を自分の財産として負担するのは、代表者個人、法人、複数人のどれか
- 寄附申込書へ記載する個人の氏名または法人の正式名称
- 支払口座と振込名義
- 受領書に必要な宛名と、連名なら各人の寄附額
- 推薦書類に寄附者として記録される予定の名義
- 芳名、銘板、広報物に掲載を希望する名前
寄附先には、「この内容で申し込む場合、推薦書類の寄附者、寄附額、受領書の宛名は、それぞれどのように記録されますか」と尋ねてください。回答は、担当部署と確認日とともに残します。
法人の寄附は、同じ内容を社内決裁と経理記録にも反映させます。代表者が一時的に立て替える場合や、個人と法人の資金が混在する場合は、口座名義だけで寄附者を決められません。送金前に、受入先、社内の経理担当、税理士へ相談してください。
寄附前に確認したい条件では、名義以外に送金前に確認する条件も確認できます。名義と金額の対応を受入先へ確認し、社内決裁を整えてから送金することが、この記事の次の行動です。
公式情報の出典
制度と税務に関する記載は、次の公式情報を2026年7月14日に確認しました。受入先の案内は、それぞれの団体の運用例です。