公益財団法人の中に基金を設けるときは、基金名より先に、寄附金を受け取る法人名、助成先を最終決定する機関、管理費、報告、残額と終了条件を確認します。自分や家族の名前を基金に付けられても、寄附後の財産を本人が持ち続けるとは限りません。受入法人の規程と確認書を読み、希望を伝えられる範囲と、財団が決める範囲を分けてください。

直接寄附、既存団体内の基金、自分の財団、公益信託の違いをまだ整理していない方は、先に直接寄附・基金・財団・公益信託を分けて考えるをご覧ください。この記事では、その中から既存の公益財団法人内の基金を候補にした後、送金前に決めることへ絞ります。

基金名と寄附金を受け取る法人名を分ける

今回確認した複数の公益財団法人の公式案内では、寄附者と相談して基金に名称を付ける一方、寄附金を受け取り、管理し、助成を行うのは既存の公益財団法人です。基金名が新しい法人の名称になるわけではありません。

最初に、寄附申込書と基金設置確認書で、寄附金を受け取る法人の正式名称を確かめます。受領書を発行する名義、寄附金を管理する会計上の区分、問い合わせ先も一緒に確認してください。「○○基金へ寄附する」という説明だけで、財産が誰へ移るのかを判断しないことが大切です。

候補となる公益財団法人そのものをまだ調べていない場合は、基金の条件より先に、高額寄附の受入先を公開資料で確認する手順で、法人格、事業、役員、財務、実績を確認します。

名称やテーマへの希望と、助成先の最終決定を分ける

複数の公式案内には、基金の名称、支援分野、対象地域、期間などを寄附者と相談する例があります。しかし、寄附者が希望を伝えられることと、助成先を最終決定できることは同じではありません。

助成先は、公益財団法人の選考委員会、専門委員会、理事会などが決める例があります。候補団体を挙げたい場合は、誰が候補を出し、誰が審議し、誰が最終決定するのかを尋ねます。寄附者本人や親族と関係がある団体を候補にできるか、利益相反をどのように扱うかも、受入法人の規程で確認してください。

「教育を支援する」のような広い希望だけでは、将来の判断が難しくなります。対象地域、対象者、対象となる活動、対象外とする活動、支援する期間まで書き分け、受入法人の公益目的と事業に合うかを相談します。

最低額・管理費・期間は財団ごとに確認する

基金の最低額、管理費、期間に全国共通の条件はありません。今回確認した公式案内だけでも、最低額を設けない例、100万円以上とする例、原則500万円以上とする例がありました。公開条件は変更されることがあるため、候補法人の現行資料で確認します。

管理費も、個別に協議する例、寄附額の一定割合を充てる例、基金残高などを基準にする例があります。率の低さだけで選ばず、何を基準に計算し、いつ差し引き、どの業務に使い、報告書へどのように示すかを文書で受け取ってください。

期間については、一定期間で使い切る基金と、元本を維持しながら運用益などを助成に充てる基金の例があります。「永続」という言葉だけで判断せず、管理費を差し引いた後に助成できる金額、助成できない年度の扱い、追加寄附の条件を確かめます。一定期間で使い切る場合は、毎年の助成予定額、最終年度、残額の扱いを確認します。

使途変更と残額は、基金を設ける前に決める

支援したい課題や団体が将来も同じ状態で続くとは限りません。当初の目的を実行できなくなった場合に、誰が、どの手続で、どこまで使途を変更できるかを、基金を設ける前に決めます。

残額が少なくなった場合、基金の期間が満了した場合、寄附者が亡くなった場合も確認が必要です。基金を別の目的へまとめるのか、似た分野の事業に使うのか、終了するのかを尋ねます。寄附後の残額を寄附者や相続人が自由に取り戻せると考えず、受入法人の規程と確認書に書かれた扱いを確かめてください。

報告については、活動紹介だけでなく、基金残高、受け入れた追加寄附、管理費、助成額、選考状況、助成先の活動結果のうち、何をどの頻度で受け取れるかを確認します。公開される情報と、寄附者だけに報告される情報も分けます。

送金前に十二項目を一枚で確認する

口頭で確認した内容は、基金設置確認書などの書面へそろえます。次の十二項目を一枚にまとめて候補財団へ送り、回答と規程、申込書の内容が一致するかを確かめてください。

確認する項目書面で確かめること主な確認資料
1. 受入法人と基金名寄附金を受け取る公益財団法人の正式名称と、基金の名称寄附申込書、基金設置確認書
2. 金額と財産最低額、追加寄附、現金以外に受け入れられる財産基金案内、寄附金取扱規程
3. 使途支援分野、地域、対象、対象外基金設置確認書、事業資料
4. 期間使い切る期間、元本を維持するか、助成開始・終了時期基金案内、基金設置確認書
5. 選考誰が候補を出し、審議し、最終決定するか選考規程、委員会規程
6. 寄附者の関与本人や家族が意見を伝えられる範囲、利益相反の扱い選考規程、基金設置確認書
7. 管理費金額・率、算定基準、控除時期、使途料金説明、基金設置確認書
8. 報告頻度、基金残高、管理費、助成先、活動成果報告書の見本、基金案内
9. 公表と匿名基金名、寄附者名、助成先、写真をどこまで公表するか広報同意書、基金設置確認書
10. 使途変更当初の目的を実行できない場合の判断者と手続寄附金取扱規程、基金設置確認書
11. 残額と終了少額になった場合、期間満了、死亡後の終了・承継条件基金設置確認書、寄附金取扱規程
12. 受領書と外部確認受領書名義、税務と紺綬褒章を誰へ確認するか受領書見本、寄附申込書

この確認票は、受入法人の規程や契約書に代わるものではありません。回答が曖昧な項目は空欄のまま送金せず、基金担当から書式または規程の該当箇所を示してもらいます。

紺綬褒章は基金名ではなく受入法人から確認する

紺綬褒章を希望する場合も、基金名だけで対象になるかを判断しません。寄附金を受け取る公益財団法人の正式名称を、内閣府の最新の紺綬褒章「公益団体」として認定する団体一覧と照合します。

一覧に法人名があっても、今回の基金への寄附について推薦や受章が自動的に決まるわけではありません。誰から誰への寄附として扱うのか、どの関係府省等へ確認するのかを、財産を動かす前に受入法人へ尋ねます。確認の順序は紺綬褒章の対象となる寄附先の確認方法にもまとめています。

税務上の扱いも、基金という呼び名だけでは決まりません。寄附する人、財産の種類、受入法人、財産を移す方法を整理し、受領書の名義と基金の書式を税理士または税務署へ示して個別に確認してください。

基金設置確認書と規程がそろってから送金する

候補財団には、想定する財産、支援分野、期間、ご本人が希望する関与を伝えます。そのうえで、寄附申込書、基金設置確認書、寄附金取扱規程、選考規程、管理費の説明、報告書の見本を受け取ってください。

最後に、十二項目の回答と各書式を照合します。基金名と受入法人名、希望と最終決定、管理費と助成原資、使途変更と終了条件が文書で区別されていれば、寄附後に誰が何を担うかを確認できます。税務と紺綬褒章の個別確認も終えてから、送金日を決めます。

確認した一次資料

この記事では、制度名の印象だけで条件を一般化しないため、次の公益財団法人と内閣府の公開資料を確認しました。各財団の条件は、その財団に基金を設ける場合の公式例であり、他の法人へそのまま当てはまるものではありません。